介護事業の差別化対策
高齢者住宅が他との差別化を図るためには、どのような課題があるでしょうか。
第1に、ケアの量と質です。グレードという観点から考えると当然です。日本では、要介護者への介護は介護保険を中心に組み立てられており、入居者数当たりの人員配置を量とし、技術や姿勢を質とします。どの現場でも真摯に取り組まれていると思いますが、介護保険制度のルール内では、なかなかその差が表に出にくくなっているのも事実です。
第2に、建物の立地と広さです。高齢者住宅とは言え、これによる価格差は歴然とあります。訪問のしやすさ、近隣に外出する時の便利さ、地域のブランドも影響があるでしょう。ただし介護施設としてみた場合、外出の機会は少ないため、一般住宅よりその差はやや弱まります。
第3に、食事です。食事は、老後の生活でアクティビティが少なくなる時に、最大の楽しみとなります。満足度向上のために、良い食材を使用し、プロの料理人が調理し、それぞれの好みに合わせたできたての食事を提供すれば、当然費用が掛かります。ある程度リーズナブルにするには、工場で作った食事をあたためて提供するなどの方法を取らざるを得ません。
第4に、サービスです。ヘルパーさんが対応できることは限られており、充実した対応や各種アクティビティの提供、プロが整備した庭の配置など、サービスの充実には、それぞれに費用が必要になります。
現状の介護施設は、日本の介護保険制度下で
- ケアの量と質に影響する入居者の介護度
- 住居の場所やサービスに係る費用
という2軸により平準化され、それ以外の個性が失われているのではないでしょうか。
衣食住、介護と医療において安全・安心が確保できても、広いお部屋に一人住まいで、サービスの充実した豪華な環境にいても、生きがいを感じられない方、訪問客も外出する意欲もなくしてひっそりと暮らしている方がいます。暮らし方の好みは人それぞれですが、介護度と費用の2軸に加え、3軸目として生きがいを持ちたいというグループがいるという、調査結果があります。
あまり費用をかけず、自然や季節感、地域交流の中で暮らす。自立した高齢者だけでなく、土いじりができなくなった要介護者も、充実した暮らしをする。ヨーロッパを中心に広がるケアファームに、そのひとつの答えがあると、都市緑地は考えています。
都市緑地の提唱するケアファーム
ケアファームは1998年頃にオランダをはじめとするEU各地に急速に広がりました。例えばオランダには、人口約1,780万人、国土は九州と同じくらいの広さにも関わらず、1,500を超える数のケアファームがあります。対象は広範囲で、高齢者住宅や認知症の治療だけでなく、障がいや精神疾患を持つ方、発達障害の子供たちの支援などにも利用されています。
しかし、このようなケアファームをそのまま日本に持ってきても、必ずしも日本の文化や制度に合うとは限りません。都市緑地株式会社は、日本に合った「日本型ケアファーム」を提唱しています。ケアファームの運営をボランティアに頼るのではなく、企業の投資対象に適した低層木造建築と、障がい者就業支援の農場とを組み合わせることによって実現します。
ケアファームの魅力 <利用者満足度の高さ>
まず、利用者満足度が高い点が挙げられます。
ケアファームは、単なる菜園付きの高齢者住宅ではありません。自立した高齢者の方は、土いじりを楽しむこともできます。要介護の方は、花や野菜が育つことを楽しむだけでも構いません。関わり方は自由です。また、地域交流と多世代交流を実現することもできます。
- 窓やテラスから見える季節ごとの自然の風景
- 野菜や草花を育てる体験による生きがい
- 新鮮な農作物を取り入れた食事
- 農作物のマルシェでの販売
- 収穫祭や芋煮会などの皆が集う環境
- 共に生活してきたペットと一緒に暮らす環境
- 障がい者事業所との連携
- 地域交流や多世代交流
都市の中の自然、穏やかな環境で季節を感じられるケアファームは、これまで社会を支えた高齢者にとって、物質的な豊かさを超えた人間らしい環境で、老年期を過ごすことができる場所です。このような自由で人間らしい生活を過ごしたいと思っている高齢者の方々も多いはずです。
ケアファームの魅力 <ブランディング>
ケアファームは、利用者だけでなく、介護事業を営む皆様にも魅力的な施設です。
日本では、高齢者福祉と障がい者福祉では制度が異なるため、両者を組み合わせて運営することはまれです。しかしそのことで、高齢者の方に季節感のある野菜と庭を、低い費用負担で提供できます。障がい者の方は仕事を得ることができ、ヘルパーさんの負担もありません。今までにない、農園を中心とした特徴のある介護施設で、将来的な入居見込み客と収益性も確保することができます。
- 農園でのデイサービスやショートステイを提供できる
- ケアファームで採れた旬の野菜や果物を、食材として提供できる
- 閉鎖的になりがちな入居者の、農園訪問などのアクティビティとして活用できる
- 近隣の幼稚園や保育園の、園児の慰問や収穫体験、庭園見学の場所として活用できる
- 医療との連携がとれれば、住み慣れた場所で最期の時を迎えるケアができる
- ブランディングと信頼感が構築できる
ケアファームの魅力 <スタッフの確保>
意欲的なスタッフの確保は、どの施設でも最優先すべき課題のひとつです。ケアファームはここでも大きなメリットがあります。
そのような農業高校生から見たケアファームはどうでしょうか。農業と食に興味があって選んだ農業高校です。農地があり動物がいて、対面で直接人のために仕事ができることが実感できます。確かに、「介護」や「福祉」を仕事にしようとは思っていなかったかもしれませんが、とても魅力的な就職先に見えるのではないでしょうか。逆に、職業として「農業」を考えていなかった介護福祉系の高校生も、同様に魅力を感じてくれると思います。また、介護事業者の皆さんにとっても、意欲溢れたフレッシュな人材は魅力があるはずです。
さらに、通常の高齢者住宅以上に、定年後の再就職先、短時間勤務を希望する方の就職先としても、魅力があります。
「田舎に施設をつくっても、駅から遠くて通勤も不便だし、スタッフがあつまるだろうか」
よく聞く質問です。しかし、医療介護業界は志の高さではNo.1の業界でもあります。入居者に良い環境を提供できると分かれば、特に幹部職員は積極的に取り組む意欲をもってくれますし、また、駐車場があれば、その地域の介護就職希望者も集まってくれるはずです。
介護事業とSDGs/ESG投資/インパクト投資
- 3 すべての人に健康と福祉を
- 8 働きがいも経済成長も
- 11 住み続けられるまちづくりを
- 12 つくる責任 つかう責任
- 13 気候変動に具体的な対策を
- 15 陸の豊かさも守ろう
SDGsはすべての企業にとって、目標ではなく出発点でなければならないところまで来ています。また、社会や環境に貢献するESG投資やインパクト投資も、介護事業を行う皆様と親和性が高く、目指す方向性は一致しています。
これらの取り組みは単なるCSRではありません。環境や障がい者福祉のために費用を負担するのではなく、Win-Winの取り組みとなるのです。
都市緑地株式会社は、SDGsの目標達成に貢献し、ESG投資やインパクト投資先としても魅力的な高齢者施設を作るため、原則として木造建築でZEB(Zero Energy Building)を目指し、グリーンリースを積極採用したケアファームをご提案しています。
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弊社がご提案する「ケアファーム」が持つ、実利面での魅力と利点がお分かりいただけたでしょうか。ご興味をお持ちいただけましたら幸いです。
都市緑地株式会社代表の太田は、社会福祉法人理事や上場企業グループ会社の代表取締役などを歴任し、一級建築士としてもこれまで数多くの福祉施設開発に取り組んでまいりました。豊富な実績と多くのネットワークを活かして、クライアント様のご期待にお応えします。
また、弊社では、ビジュアルイメージが掲載された設計例などもご用意しております。
皆様の施設運営方針をお聞かせいただくことで、最適なご提案をさせていただきます。ケアファームに最適な敷地として、生産緑地や都市周辺農地をご紹介したり、協業先として、地域の障がい者支援事業者をご紹介したりすることも可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
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