木材(自然に触発されたデザイン) 木材についての最新情報~住居・健康・人間性についてのレポート~

木材(自然に触発されたデザイン) 木材についての最新情報~住居・健康・人間性についてのレポート~

画像引用元:“Wood Nature Inspired Design

木造建築が人々の健康や感情、環境に与えるメリットを述べた報告書です。木造建築の中にいるとストレスレベルが減り、対人関係が活発になることを各国の研究結果とともに紹介しており、説得力が高いです。写真がクリアで多彩なので、上に挙げた写真以外も使いやすいと思います。写真の中でケアファームの内容に合致するものはレポート中のFigure2・3・5・16・22です。

 

なぜ木材がいいのか?

木材は天然の再生可能な資源であり、同じものは2つとありません。
最終的な木材の見た目は樹種や生育地、生育条件、収穫時の樹齢、木材の加工方法など様々な要因によって変化します。
木材は人類が使用してきた最も古い建築材料の一つでありながら、近年の技術開発により最も近代的な建築材料の一つとなりつつあります。

適正に管理された認証森林から生産される木材(森林認証材)は、気候変動に対処できる唯一の建築材料です。
木が成長すると、大気中の二酸化炭素を吸収し、光合成によってこれを糖に変換し、木材を構成する化合物を形成します。
木材の乾燥重量の約50%は炭素であり、製品の寿命まで木材に固定されています。

また木材は現在利用されているものの中で唯一、再生可能な建築材料でもあります。
したがってアルミニウムやスチール、コンクリートなどの炭素を多く含む材料の代わりに、木材を使用することで、建築物における炭素排出量を大幅に削減することができます。

さらに建築物における木材の利用は健康や福祉、人の生産性に良い影響を与え、自然の中で過ごすことで得られる効果と同様の効果があると言われています。
そのため近年木材の利用が進んでいます。

 

木材が健康に与える効果

自然が与えてくれる木材は、最小の加工で機能と見た目の美しさを両立することができます。
そして私たちは毎日五感を使って木の存在を感じており、木材に触れることで幸福感を感じることができます。
なぜなら木材は自然とつながっている感覚を与え、私たちの健康と福祉を高めてくれるからです。
しかし木材の健康への影響に関する研究は、未だ限定的な分野にとどまっています。

これまでの研究では、他の材料と比較して、生理学的な反応や、血圧や認知能力などの健康に関連する様々なパラメータへの影響が明らかになりました。

(1)木材と血圧の関係
日本の研究で、14人が木製またはスチール製の壁パネルのある部屋に座ったときの生理的反応を比較しました。
この研究では、木製パネルに暴露された被験者の血圧は有意に低下し、スチールパネルに暴露された被験者の血圧は有意に上昇したことがわかりました。

(2)木材と心拍数の関係
オーストリアの研究では、木製ベッドで3週間寝た30人の心拍数を調べ、人工木材のベッドで3週間寝たときの心拍数と比較しました。
木製のベッドで寝ると、対照群と比較して、1日あたり3,500回の心拍数が減少していました。-

(3)木材とストレスの関係
2010年の研究でストレスの多いタスクに割り当てられる前後の119人の学生の反応を、木造と非木造のオフィスで比較しました。
非木材オフィスと比較して木材オフィスの被験者のストレスが低いことが皮膚測定の結果分かりました。
この研究は木材が環境心理学の分野で自然に触れることと同様のストレス軽減効果を生み出すことを示しています。

木造建築や木製の家具の効果を調査したこれらの研究は、木材の存在が血圧や心拍数を低下させたり、ストレスを減らしたりする効果をもたらすことを明確に示しています。
このような生理的反応は交感神経系によって制御されています。
交感神経系はストレスを受けると活性化し、血圧や心拍数を上昇させる一方で消化機能や免疫システムの働きを低下させ、ストレスに対処します。
交感神経系が長時間活性化していると肥満や2型糖尿病、心疾患などの深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。
したがって木材のある生活は人の健康に長期的に見てもプラスの効果をもたらすのです。

 

木材が脳に与える効果

さらに木材が脳に与える影響についても研究が進んでいます。
脳の研究からも木材が人の体に良い影響を与えていることが分かります。

日本の介護施設で木製のテーブル・椅子・食器を使用している高齢者44人の行動と健康状態を調査し、プラスチック製品を使用している人と比較しました。 その結果、木製の製品を使用することで個人間の交流の回数が増加し(会話が増え、お互いに積極的に関わろうとする)、さらに精神状態が改善し、自己肯定感が得られることが明らかになりました。

人々が木材と触れ合うことで得られるポジティブな心理的成果は、経済的にも大きな影響を与えます。
なぜなら高齢者のコミュニケーションが認知症のリスクを減らすことが研究で示されているからです。
認知症のリスクが低下すると高齢者の入院期間が短くなり、医療費削減につながります。
このようなポジティブな傾向はビジネス誘致をも可能にします。

 

まとめ

木材は自然の形や自然の美しさの象徴です。
木材が人にもたらす自然の温もりや心地よさは血圧や心拍数を下げ、ストレスや不安感を軽減し、コミュニケーションを活発にし、そして企業イメージを向上させる効果があります。
さらに森林認証材は、炭素を蓄え、二酸化炭素の排出を削減することで地球温暖化を抑制します。

木材は建築材料の中でも最も古くから使われています。
私たちが健康で穏やかな生活を送るために木材の価値が見直されれば、これからはもっと大きな役割を果たしていくでしょう。

記事引用元:Wood  Nature Inspired Design
An update of the Wood – Housing, Health, Humanity Report

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