海外事情

認知症の人向けの生活環境としてのグリーンケアファーム

画像引用元:“Depden care farm

認知症の人のための介護施設でのケアは、小規模で家庭的なケア環境へとますます進化しています。このような施設では、少人数(通常6~8人)の入所者が家庭的な環境で共同生活を送ることになります。介護職員は業務を一元化し、身の回りの世話や医療的ケアだけでなく、活動を企画したり、入所者と一緒に家事を行うなど、日常生活の正常化と有意義な活動への参加が奨励されています。

世界的に類似した幾つかのコンセプトとしては、個人に合わせたケアのほか、入居者の個人的な強みを引き出し、居住者の全体的な幸福を支援することです。最も重要な要素は、高い生活の質を提供することであり、この目標を実現するためには、自律性、個別化、個人のアイデンティティーや人間性の保護といった価値観が極めて重要になります。

従来の介護施設での介護に代わる、認知症の人のための小規模で家庭的な介護環境の具体的な例として、グリーンケアファームの事例を紹介します。グリーンケアファームは新しい取り組みで、医療分野以外の分野から生まれたものです。利用者が自立して生活し、可能な限り長く社会に参加できることを目的としています。グリーンケアファームは、精神疾患、依存症、精神障害、自閉症の子ども、認知症の高齢者など、医療・福祉分野の多様な利用者層を対象に、農業活動と介護サービスを組み合わせたもので、通常の医療機関とは異なり、家庭的で小規模な環境で介護活動を行うことができます。グリーンケアファームは、ヨーロッパや日本で最近注目されており、主に認知症の人などを対象としたデイケア活動が中心となっています。

オランダには1,000カ所以上のグリーンケアファームがあり、そのうち約250カ所が認知症の人たちに介護活動を提供しています。最近では、24時間ケアを提供するグリーンケアファームがいくつか設立され、他の施設での長期ケアに代わるものとして注目されています。

その一つが酪農牧場で、2005年から認知症の人のデイケア活動を行っています。オーナーは、夫と妻、酪農家の3人で、ケアマネジメントを担当しています。妻の経歴は看護師で、以前は従来型の介護施設で働いていた経験があります。デイケア活動のためにグリーンケアファームを開設して以来、利用者から「介護の必要性が高まったときや、介護施設への入所が避けられなくなったとき、この農場に滞在できないか」という問い合わせが多く寄せられました。農家のご夫妻は、介護活動を拡大したいと考えていたため、ご自身の農場に認知症の方20人を対象とした在宅型介護施設を2つ開設されました。正式にオープンしたのは2013年3月。階下には認知症の方8人が利用できるホームが2つ、2階には4つの居室が誕生しました。同施設での活動は、家事(ジャガイモの皮むき、料理、野菜の栽培、酪農場で牛乳をもらうなど)、または動物や野外活動(種まき、牛や羊、鶏、犬、猫などの動物への餌やりなど)があります。

入居者の平均年齢は83歳で、53歳から96歳まで。全体では女性が62%と他の介護施設と比べて低く、比較的男性が多くなっています。入居者の中には、農業の経験がある人もいれば、ない人もいます。全体的に、家族はグリーンケアファームで行われている活動や提供されるケアについて肯定的です。この最初の事例では、入居者に対し物理的な環境に合わせた有意義な活動の機会を多く提供できることが示されました。

しかし、この新しいケアコンセプトと、それが入居者に与える影響については、より多くの洞察が必要です。認知症学会では、認知症の人に24時間介護を提供する2つのグリーンケアファームと、他の小規模で家庭的な介護施設や伝統的な介護施設とを比較した研究を行っています。

記事引用元:Internatinal Psychogeriatric Association「Green Care Farms as an alternative living arrangement for people with dementia?」

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