都心部でも進む少子高齢化問題
地方では、少子高齢化に伴う人口の減少が加速して都心への生産年齢人口の流出が進んだことで、高齢化による働き手の不足や農地の耕作放棄、空き家の増加などの問題がますます深刻化しています。
耕作放棄地や空き家の増加といった少子高齢化に伴う問題は、地方に限ったことではありません。都心部でもすでに高齢化に伴う介護施設や介護人材の不足による介護難民が大きな社会問題となっています。施設介護、在宅介護、病院などといった医療介護の需要は、今後さらに高まっていきます。しかし、介護・福祉用の土地や人材の不足で、このままでは必要な介護を受けられない高齢者が増えていく可能性があります。
とは言え、「都心部で介護が受けられないので、地方に行ってください」と言われて、すんなりと行けるでしょうか?
高齢者の自然回帰願望
都心暮らしに慣れた高齢者が、突然地方に行くのには無理があります。地方への移住を考えはしても、住み慣れた場所で最期を迎えたいと考える人は多いでしょうし、家族から離れて知り合いもいない地方に行って、きちんとした介護を受けられるか保証もないからです。
一方で、自然あふれる地方で暮らしたいという「自然回帰」の願望は、コロナウイルスがおさまってきても依然として強くあります。「自然の中で命を終えたい」と望む人の数は決して少なくありません。
ケアファームは、こういった高齢者の問題に対するひとつの解決策になります。
ケアファームは地方の余剰地を利用し、都心部の介護サービスや障がい者就業支援企業と提携することで人材を得て、建設・運営されます。これにより、都心部から介護士やヘルパーなど介護職の方々の地方への移住が多くなる可能性があります。また、ケアファームの建設や運営により、介護事業だけでなく、建設業、農業、林業などの雇用も拡大します。人材のニーズや雇用が生まれれば、地元の人間が都心へ向かう事はなくなりますし、高齢者を抱えた家族が皆で地方に移住できる可能性も出てきます。地方が活性化することは高齢者の孤独感を失くすのにも役立ちます。
ケアファームの高齢者へのメリット
1. 高齢者と農業の関わり
ケアファームは高齢者施設に農場を組み込んだものです。
農場の運営には地域住民が協力し、高齢者は参加することができる農業やガーデニングに携わります。自然の中で手を動かすことは、高齢者の心身のケアにつながります。実際に海外のケアファームでは、アルツハイマーなどの病気が改善したという事例も数多くあります。
2. 高齢者の疎外感を防止
ケアファームの一部を市民農園として地元の人々に開放したり施設内でワークショップを行うことで、高齢者と地域住民の間に交流が生まれます。地域住民同士の間にも交流を生み出されるので、地域のコミュニティを活性化することにも繋がります。これは、地方に移住してきた人々の疎外感や孤独感をなくすのに役立ちます。また、ケアファームの運営にあたって農業や建設業、介護事業、林業の雇用が拡大するため、高齢者のいる家族が高齢者と共に地方移住できる可能性も見込まれます。
3. 高齢者が自然と触れ合いながら豊かに生きる
ケアファームでは、自然と触れ合いながら伸び伸びと過ごすことが出来ます。都心部の狭い介護施設で暮らすよりも、豊かな老後を過ごすことができます。
まとめ
ケアファームは、高齢者が心豊かに老後を送ることのできる施設です。高齢者問題がますます深刻化する中で、ケアファームは高齢者だけでなく介護者や介護職、地方活性化など地域住民にとっても有益な施設になる可能性を秘めています。老後をどう過ごすかと言う問題に直面する中で、豊かな老後を過ごせるケアファームはひとつの大きな選択肢になると言えるでしょう。