画像引用元:“Depden Care Farm”
アイルランドは、欧州の中でもケアファーム(ソーシャル・ファーミング)事業に力を入れている国で、同国政府は2017年に関連プロジェクト3件への資金提供を決定しました。当記事は、2019年にこれらのプロジェクトに追加拠出を決めたときのもので、アイルランド政府がいかにケアファーム事業を重要視しているかが伺えます。
2019年10月29日
アイルランドのマイケル・クリード農業・食糧・海洋大臣は、同省が2017年9月に発表した3件のケアファーム関連プロジェクトへの資金提供を継続し、2019年の地方イノベーション・開発基金から総額71万3,504ユーロを追加拠出すると発表しました。
ケアファームとは、治療的なデイサポートサービスを利用する人々に、農業や園芸への参加を任意で提供するものです。
クリード大臣は、様々な医療サービスを利用し、社会的に不利な立場にある人々に重要なサービスを提供する上で、地方コミュニティを通じたケアファームの取り組みが非常に役立っているとしています。
ソーシャル・ファーミングのメリット
クリード大臣は政府からの資金提供について、ケアファームの促進と発展を支援するだけでなく、ケアファームを提供する農業従事者や関連組織、サービス提供者など、支援を提供する側を結び付けるのに役立つと述べています。
同大臣は、「ケアファームに参加することで、コミュニティとのつながりや人間関係の改善、自尊心や能力の向上、健康と幸福感の向上、新しいスキルを学ぶ機会といった利点を得られることが分かっている。それは参加者に、“普通の場所で普通のことをする”という機会を提供するものであり、アイルランド政府が掲げる健康とソーシャルケア、障害者の労働活性化に関する政策と完全に一致している」と述べ、「わが省からの継続的な支援は、プロジェクトの運営と継続性を維持するためのものであり、特に、アイルランドの地方社会で農家やサービス提供者がケアファームの開発と展開に強く取り組んでいることを考えると、この資金提供は重要な意味を持つ」と強調しました。
資金提供の内訳
今回の拠出金は、地方部で多様なプログラムを提供する企業Leitrim Integrated Development Companyとサウス・ケリー開発パートナーシップ(South Kerry Development Partnership)、ダウン症アイルランド(Down Syndrome Ireland )のコーク支部と政府が結んでいるケアファーム関連契約の延長に伴い、提供されます。
内容の内訳は以下の通り。
- 「ソーシャル・ファーミング・ネットワーク・プロジェクト」の延長に35万ユーロを提供し、Leitrimによる国内のケアファームと地域ハブとのネットワーク構築を支援する。
- アイルランドにおけるケアファームの促進と発展に向け、Leitrim がエビデンスに基づいたスキル習得や最良の慣習、政策提言を継続できるよう12万1,000 ユーロを提供する。
- ダウン症アイルランド(コーク支部)に対しては、成人のダウン症の人々が職業トレーニングに参加し、安全な環境で園芸作業に従事できる園芸センター「フィールド・オブ・ドリームス」に11万9,504ユーロを提供する。
- サウス・ケリー開発パートナーシップには12万3,000ユーロを提供し、障害を持つ人々が個々の発達目標を達成するために農場の家族や地域社会と交流できる機会を提供する。
記事引用元:THAT’S FARMING