職員に支えられている介護現場

職員に支えられている介護現場

介護職員を確保する難しさ

介護職員の確保は施設を運営する経営者や管理職が一番苦労する点のひとつだと思います。コロナウイルス感染症の影響で求職者が増えても、必ずしも介護業界に人が増えている印象はありません。少子高齢化で労働者が減少していることや、介護施設が急速に増加したことで需給バランスが崩れていることも影響しています。

介護の需要が右肩上がりに増加していくことに反比例して、介護福祉士を養成する学校は減少しています。そして多くの介護系学校で定員割れが続いているとも聞いています。介護の不人気に限らず、若者の減少などから学校経営も厳しさを増しているのでしょう。(公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会「令和2年度介護福祉士養成施設の入学定員充足度状況等に関する調査の結果について」)

専門学校の就職担当者から「親が子供に対して、介護職に進むことを反対するケースが増えている」という話も聞きました。

介護職はいまだに、3K(キツイ、汚い、危険)や5K(キツイ、汚い、危険、暗い、臭い)などネガティブなイメージが先行しています。実際には、介護職員の待遇は年々改善されていることは統計からも明らかになっており、今の時代の中では魅力的な側面も増えていると思います。(公益財団法人介護労働安定センター「令和2年度「介護労働実態調査」結果の概要について」)

 

就職説明会の様子

仕事柄、様々な就職説明会に参加して学生や求職者と話す機会があります。

ある病院で働いていた時に、薬学部の学生の就職説明会に参加しました。学生のうちからみんながしっかりとした目標や考え方を持っていてとても驚いたことを覚えています。

一方、介護の就職説明会では、こちらが不安になるような学生も大勢いました。一番記憶に残っているのは、専門学校卒業間近の女子学生です。こちらが話をしていても下を向いており、話し掛けても小さな声で何を言っているのか聞き取れません。大勢の中ではしっかりと話が引き出せないと思い、施設に見学に来て欲しいと伝えました。後日、施設案内をして話してみると、介護に対する思いも考えもしっかりした学生でした。縁あって私たちの施設で働いてもらい、今でも介護現場で活躍しています。

 

職員採用の現実

過去にはハローワークから潤沢に就職希望者が紹介され、職員を選ぶゆとりもありましたが、特にここ数年、職員採用は一層厳しさを増しています。ひと昔前まで、紹介会社経由による採用は看護師などの医療系や管理職など特定の職種だけだったものが、最近では全くの未経験者まで紹介会社経由ということが増えてきています。

本来であれば、必要のないコストがそのような会社に流れてしまうことで、職員の待遇改善や事業の拡大、利用者のために使うこともできなくなっています。ここでは紹介会社の善悪には触れませんが、そこに頼らざるを得ない事業所側のもどかしさを多くの管理職は感じていると思います。

とても上手く求人ができており、離職率が低い介護施設もありますが、長く介護業界で働いているとどうしても考えが固まってしまい、「介護系の学生を採用したい」「介護福祉士を持っていて即戦力となる人がいい」と思いがちです。しかし、限られた労働者の中でどこの施設も同じような人材を求めることで、体力のない法人、タイミングが合わない法人は上手く採用が進まないのもまた事実です。

ケアファームで働くということ

今どきの若者が仕事に求めるものは「やりがい」や「成長」だと言われ、昔のように高い給料や役職だけが価値基準ではありません。

ケアファームでは、「介護(ケア)」と「農場(ファーム)」を組み合わせることで、これまで介護業界とは縁のなかった人材も活躍できる機会を与えることができます。例えば農業高校卒業生や施設で要介護度の高い方の介護に不安のある人材も、介護の担い手になり得ます。働く人がやりがいや成長を実感できる職場、それが今の時代に求められている職場なのではないでしょうか。

恐らく今後も、介護職の人気が急速によくなることは考えにくいでしょう。幅広い世代や様々な職員を受け入れなくては、今後の介護運営は上手くいかないはずです。働きやすい職場環境、職員の個性や思いを大切にした職場を提供することも私たち管理職には必要なことだと思っています。

介護施設を支えてくれるのは常に現場の職員です。

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