高齢者住宅

高齢者施設や障がい者施設での虐待について

虐待増加と介護保険改正

高齢者施設や障がい者施設では、時として虐待が大きなニュースになることがあります。厚生労働省の発表によると2021年度に障がい者施設での虐待に関する相談や通報が過去最多になったという報道がありました。2021年度の介護保険改正で、全ての介護事業者に高齢者虐待防止の委員会の設置や指針の整備、研修の実施、担当者を義務付けたのも、報道されない虐待が増加していることが原因だと考えられます。

 

職場環境・知識・コミュニケーションの重要性

高齢者施設や障がい者施設は施設外の人が常に出入りする環境ではないため、外部の目が届きにくく、虐待の温床になりやすいという問題があります。特に夜間帯などは、少ない数の職員で現場を回すことや、慣れない職員で介護が行われる施設も少なくありません。

以前、介護職員の面接で過去の経験を尋ねたところ、未経験者で介護職に就き2週間で夜勤に入れられたと聞いたときは大変驚きました。比較的元気な方が中心の施設もあるので、もちろん一概には比較できませんが、未経験者をすぐに夜勤に就かせるというのは、職員不足であったとしても疑問が残ります。

職員が不安を覚えて定着しない、不慣れな職員を採用する、すぐに辞めてしまう、という悪いスパイラルになってしまうことが介護業界の問題となっていると感じます。人手不足の解消や待遇の改善により、長く勤められる環境作りや知識の向上など、すぐにでも取り組まなければならない課題は山積しています。未経験者だけが虐待を起こす訳ではありませんが、虐待を防ぐ意識や虐待と思わずに虐待になってしまうということもありますので、研修や勉強会などで意識を持ってもらうことも大切です。

最近では、コロナウィルスの影響から面会や館内への立ち入りを禁止している施設が数多くあります。そのため、入居後にどのような療養環境で生活しているかをご家族が見たことがないというケースが増えてきました。一方、施設に入居する高齢者の方は、携帯電話で直接ご家族と連絡を取ったり、インターネットを使いこなす方も増えています。今まで以上に、ご家族との信頼関係の構築や詳細な連絡など、コミュニケーションの重要性が増し、不信感を抱かせない対応が重要になっています。

 

虐待発生の影響

高齢者施設は、いまや選ばれなければ生き残れない時代です。施設で虐待が起こってしまうと、その後の経営にも大きな影響が出ることは避けられません。それが1人の派遣社員が行った虐待でも、施設が行ったことだとみなされます。また、管理者の知らないところで虐待が起こっていたり、虐待に気付けないということもあります。「勤めている施設で虐待や不適切な介護が行われているから転職したい」という求職者もいました。辞めた職員が、施設の実態を公にする例も数多くあります。介護業界は、思っているよりも狭い世界です。虐待や事故は、口伝えやSNSなどからあっという間に情報が広がり、選ばれない施設になってしまいます。

 

虐待防止のために

虐待は、転倒や転落とは異なり、防ぐことができるものです。

虐待を防ぐには、管理者が「虐待を起こさせない」と決意することです。良い職場環境を作り、研修や勉強会を実施し、連絡体制を整えるなど、さまざまな対策を取ることで、起こらないのが当たり前という環境を作ること、虐待が起こっていないかアンテナを張ることが、管理者の役割です。

介護職員の多くは、心優しく、介護への志を持って介護の世界に足を踏み入れています。誰にも見られていない、密室で介護を行っているという意識を持たず、しっかりとした知識を身に付け、丁寧なコミュニケーションを心掛けることが重要です。

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