AIの進化による雇用への影響
「AIが進化すると多くの仕事がなくなる」
ネットや週刊誌で、このような見出しの記事を読んだことがある人は多いのではないでしょうか。AIが進化することで、これまでの働き方や役割が大きく変わると言います。一方で、AIが進化しても、なくならないと言われる仕事もあります。介護もそのひとつです。
介護職の未来
外国人労働者の受け入れを巡り、「介護は単純労働」と括られたことで大きな話題になったことがありました。本当に単純労働なのであれば、AIに取って代わられるはず。そう考えると介護は本当は奥が深く、誰にでもできるものではないと言えるでしょう。だからこそAIが進化しても、「なくなりにくい仕事」として上位になっているのです。
昔と比べると介護にもさまざまなテクノロジーが導入されており、コミュニケーションロボットや見守り支援機器、センサーなど多くの商品が販売されています。しかし、これらの機器はまだまだ金額も高く、多くの施設で導入されているとは言えない状況です。
以前、コミュニケーションロボットのデモンストレーションを受けたことがあります。私から見ると、「赤ちゃん?動物?なにこれ?」だったのですが、普段あまり笑顔を見せない認知症の高齢者が、とても嬉しそうにそのロボットを抱き、話しかけている様子を見てとても驚きました。その方が、どのような認識でロボットを喜んでいたのかは知る由もありませんが、さまざまな研究のもとで開発され効果があることを目の当たりにしました。
人間らしい環境
介護は対人援助や相手の気持ちを汲むことが前提となっており、テクノロジーだけでは対応が難しい分野です。おむつ交換や食事の介助など、相手の反応や顔色、声、体温などを感じながら行うことはロボットには難しいでしょう。あくまでもテクノロジーは、介護職員の補完機能です。
そのような高齢者の生活や健康を支える場は、人間らしい環境が最も適しているのではないでしょうか。
人間らしい環境・・・もちろん、人によって捉え方や思いは違います。便利な都市部での環境が好きな人、田舎暮らしのようにゆったりした環境が好きな人、一人でいたい人、賑やかな環境が好きな人など、人それぞれです。全ての人に最適な環境はないのかもしれません。
それでも、目の前の人に喜ばれる環境を提供したい、というのが介護に携わる多くの人達の願いではないでしょうか。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでは、どうしても決まった環境やタイムスケジュールでの生活になります。しかし、サービス付き高齢者住宅は、施設とは違って入居者がそれぞれ思い思いの生活を送ることが可能です。介護が必要になれば、外部の介護保険サービスを利用することができ、介護が必要なければ、見守りや美味しい食事の提供を受けられます。利用される方も安心ですし、何より離れたご家族が一番安心することができる環境です。
どんなにテクノロジーが発達しても、人と人との繋がりはなくなりません。
そして、自分らしく生きたいという思いは、年をとっても変わらないでしょう。